ジャイアントロボ〜地球が静止する日〜

※注意!ネタバレ有り!ジャイアントロボのビデオ見てない人は読まない方がいいです。


 ここ数年天野さんの担当したこのオリジナルビデオアニメの音楽が交響組曲「GR」として出版され、多くの団体がコンクール自由曲として演奏し、吹奏楽界を賑わせているのですが、吹奏楽関係者で肝心の作品を見た人というのはほとんどないのが現状でしょう。なんたってOVAですから田舎の小さなビデオ屋さんには置いてないし、あってもよっぽどのマニアでないと見ないでしょうから・・・私はまぁどちらかと言えば?マニアなもので実は曲が流行するはるか前に第1巻だけは見てました。(発売はたしか92年頃だと思うので見たのは93年頃かな?)その時は続きを見る気にもならず、もちろん音楽も全く記憶に残らず終了(というか確か次が出るまで以上に長くて忘れちゃったというのが正しい)その後例のエヴァブームでGロボは一般人はもちろんマニアでさえ記憶から消えるマイナーな作品となってしまいました。それがこんな形で大流行(とは言っても吹奏楽界自体がマイナーだからたいしたことないんだけど)するとは監督の今川さんはもちろん音楽担当の天野さんでさえ夢にも思わなかったでしょうな・・・


 で、去年(2002年)三本木高校が自由曲にGRやった時に顧問の先生が買ったDVDを借りて、今回改めて一気に見てみたわけですが・・・

 やはりあまりいい作品ではないですね。もともとの設定(横山光輝氏原作の漫画版GR)に他の横山作品のキャラが出てくるのはまぁご愛敬としても、基本的に新設定の「シズマシステム」をめぐる攻防にしてしまったのがよくないと思うのよ。世界征服をたくらむBF団(十傑衆)VS国際警察機構(エキスパート)というシンプルな基本設定で十分いけるでしょ。玄夜や諸葛亮孔明なんてのは全く不用の設定だよ。フォーグラー博士の息子がBF団リーダー(バビル2世?)で父の復讐のためにBF団を結成し、その妹が兄を止める為に国際警察機構に入ったなんていうシンプルな普通の話でよかったんだよ。すべての動力が「シズマシステム」で、それが停止した世界では原子力で動くGRだけが世界の救世主になれる!という設定はそんなに悪くないのにやたら「原子力は封印」なんて現実の世界のエネルギー問題まで考えすぎたのがよくないんじゃないかな。そのせいでずいぶんあちこちに矛盾が生じていたように思う。ラストでせっかく出てきた十傑衆のロボット軍団もあっという間にでくの坊でしたし・・・


 だいたい戴宗と楊志が夫婦なんてのも登場した時点で何の説明もないからあんなの「後で死んだ時盛り上がるから?」くらいの気持ちで無理矢理設定したようにも思えるし、村雨と銀鈴の関係もあの描き方じゃ「あら?この2人そうだったの?」程度で薄いよねぇ・・・今川監督ホ○疑惑ってのもあのへんの男女関係の描き方が原因だよ、うん。鉄牛が生きていた!ってのも感動するだろうと思ってやったのだろうがあれじゃ逆効果。リングにかけろ!みたいで反吐が出る。単純にGRを父から受け取ったばっかりに12才ながらエキスパートになってしまった少年の戦いへの苦悩と敵であるBF団の戦う理由を描けば素晴らしい作品になったであろうに・・・やはりガンダムと同じ土俵で勝負したくなかったのか・・・?今川さんが監督したGガンダムもそれまでのガンダム、いってみればリアルアニメに対する反逆だったようにこのGRも昔のアニメにある嘘臭さだけがやけに強調されてて、見てられない。そう、ウルトラシリーズで言えばウルトラマンタロウを見てるような気分。もっとまじめにやれ!ってかんじ。それなのにリアルじゃない分を人間関係の複雑さをストーリィの厚みにするという事でうめるなんて今時大映TVでもやらない使い古しの手法を使ったりするから失敗しちゃったんだよ。これはもう絶対監督の責任だ。同じ世代としては許せない。

 十傑衆やエキスパートの描き方にしても、結局サイキッカーなんだから何の説明もなしにいきなりあんな連中が出てきたらそりゃあ誰だって「何だこれ?」って思うでしょ。「ジョジョの不思議な冒険」で言うスタンド能力、つまり超能力のビジュアル化をやってるんだから、それこそマニアの世界で、一般人が見たら何やってるんだかわからないと思う。その能力にしたって指パッチン野郎(素晴らしきヒィッツガラルド)の切断能力はシルバーチャリオッツ、中条長官のビッグバンパンチは条太郎のオラオラとキラークイーンの爆弾能力複合ってとこだし。戴宗の電撃?能力だってレッドホットチリペッパーがすでに使ってたでしょ?(ドラクエじゃ勇者の定番呪文だろうが!)それでOVA界に新風を巻き起こしたと制作側は自信満々だったけど結局パクリだよ!だいたいあんなでかい巨大怪球を止められるほどのスゴイ能力ならGRなんていらねえだろ?とツッコミたくなるのは俺だけじゃないはず。

 何よりマニアとして一番許せないのはGRが泣くシーン!てめえ!それは俺がこの世で一番愛するジョージ秋山先生の作品、ロボット漫画のバイブルと言うべき「ザ・ムーン」のパクリだろうがぁ!!あの時ムーンが泣いた理由を貴様らは本当にわかっててやっているのか?と言いたい。わからないなら安易にあんな場面を作ったのは許さない!わかってたら同じシチュエーションで再現するのがマニアだろうが!歴史を壊すなってんだよぉぉぉぉ!銀鈴さんの最後も・・・あれって絶対デ○ルマンだよね・・・マニアにはバレバレだ。

 結局ロボット版アニメの元祖である鉄腕アトムはもちろん実写版のGRでさえ守った「ロボットは人間のために生まれてきたんだ!」という鉄則をこの作品は守っていない!だから感動しないのだ。30代(いやもう40代か?)は忘れないだろう?人類を守るために太陽に向かっていったアトムの姿を。そしてあの実写版GRの最終回!大作少年の命令に初めて背きギロチン大王を抱えて宇宙に飛ぶGR。それまでずっと黙って命令に従ってきたGRが初めて自分で考え行動したあの場面。それはまさにロボットが心を持った瞬間。愛着を持って使った道具には心が宿るという日本的な感動がそこにはあった。石ノ森章太郎がキカイダーで描こうとしたロボットの真実も。ピノキオから語られ続けた人間の心というものも。それがアトムを凌ぐGRのよさだった。コンピューターが電子計算機とか電子頭脳とか呼ばれていたあの時代、実にチャチな安っぽい(逆回転する歯車の映像だよ)表現だったのにあれは今でも忘れられない。(AIなんて言葉すら存在しなかったあの時代にロボットが自分で考えて行動するという結末の感動!スピルバーグよ!なぜお前はGRを見ないでAIを創ったのだぁ!と言いたい)漫画家としては確かに横山光輝は手塚治虫にはかなわないかもしれない。鉄人28号もGRもアトムがなければ生まれなかっただろう。でもGRは実写版のあのシーンでアトムに勝ったと俺は思っているし、信じている。

 でもGRのデザインは悪くないね。実写版の面影を残しつつ、ガンダムで言えばズサ、ミサイル発射場面はイデオンを思い出すあの重量感がいい。あ!よく見たら額にユニコーンが!(実写版ジャイアントロボでBF団と戦った組織がユニコーンだったのだ!)うーんマニアックだぁ!合格合格。

 あと手塚漫画の影響が強い横山キャラだけど数では圧勝だ。なんたって三国志だの水滸伝だの書いてるから。
個人的には赤影やサリーちゃんよりそっち系のキャラをもっと出して欲しかったんだが・・・アルベルト(もとネタはマーズだと思うが・・・)の髪型もどうせならサリーちゃんのパパ風にして欲しかったし・・・元祖「魁男塾」、(いや「風魔の小次郎」か?)とも言うべき「あばれ天童」が好きだったのに名前だけとは悲しい・・・バビル2世出すならマーズも出して欲しいよ(ウラヌスとガイアはBF団のロボット軍団に混じってちゃっかり出てたけど)

 とはいうものの作品的にはどう見ても薄っぺらで、素人の私でも途中でオチが読めてしまいまして・・・(きっとサンプルが3本そろえばああなるんじゃないかなと思ったら予想通りで・・・ガッカリ)泣ける作品ではなかったです。ところが!音楽だけだと泣けるんですよ!これが!ううん素晴らしい!天野さんエライ!

 というわけで自由曲にGRを!と考えているみなさん。演奏の参考にしたいならOVAより実写版見るべきですよう〜!(あるのか?)

でも不用なシーンをカットして編集してみたらもう少しよくなるかもなどと思う今日この頃であった。やろっかなぁ・・・



【オマケ】
1回見ただけでは良くわからないという人のためにちょっとまとめてみました・・・

BF団
リーダー ビッグファイア
〈ビッグファイア守護団〉 
 ・アキレス(自由な形に変形する豹)
 ・ガルーダ(空飛ぶ恐竜)
 ・ネプチューン(水中用ロボット)
(バビル2世のまんまやん・・・)
ビッグ・ファイア
十傑衆 T混世魔王・樊瑞・・・究極の仙道使い? 混世魔王・樊瑞
U激動たるカワラザキ・・・旧十傑集のリーダー樊瑞に座を譲り引退 激動たるカワラザキ
V衝撃のアルベルト・・・衝撃波で何でも破壊。昔戴宗に右目を潰された。 衝撃のアルベルト
W白昼の残月 白昼の残月
X命の鐘の十常寺・・・無生物に命を与える? 命の鐘の十常寺
Y直系の怒鬼(血風連隊長)・・・七節昆の使い手 直系の怒鬼
Z素晴らしきヒィッツガラルド・・・指パッチンで何でも切断 素晴らしきヒィッツカラルド
[マスクザレッド・・・生物兵器?ビッグゴールドを操る マスク・ザ・レッド
\暮れなずむ幽鬼・・・虫使い? 暮れなずむ幽鬼
]幻惑のセルバンテス(死亡)・・・GR2を操る 幻惑のセルバンテス
※サニーザマジシャン(アルベルトの娘、次期十傑?) サニー・ザ・マジシャン
BF団軍師 諸葛亮孔明 諸葛亮孔明
コエンシャク・・・孔明の部下。玄夜の監視役? コ・エンシャク
A級エージェント 玄夜・・・今回の作戦のボス。フォーグラー博士しか作れないはずのサンプルシズマドライブをなぜか持っている。サンプルを3本そろえて10年前の大暴走を再現しようと企むがシズマ博士に1本奪われてしまう。テレポート能力を持つ。 幻夜
B級エージェント オロシャのイワン・・・ウラエヌス操縦者。10年前の事故で故郷を失ったらしい。脇役にしては印象強いかも。 オロシャのイワン
C級エージェント オズマ・・・サンプルを持って逃げたシズマ博士を追跡するが・・・まぁ純粋なやられ役。 C級工作員リーダー

国際警察機構
九大天王 T静かなる中条・・・必殺技ビッグバンパンチを持つ史上最強の男。でも使うと死んじゃうらしい? 静かなる中条
U神行太保・戴宗・・・火球?電撃?のような能力 神行太保載宗
V韓信(名前のみ登場)
W影丸(登場せず) 影丸
X豹子頭・林沖(登場せず)
Yディック牧(登場せず) ディック牧
Z大塚署長(登場せず) 大塚長官
[大あばれ天童(登場せず)
\妖しき幻妖斎(登場せず)
※秦明(死亡)花栄と黄信の師匠らしい。
エキスパート
こっちもA級とかB級とかあるのかも・・・
草間大作・・・GR操縦者。GRは彼の父草間博士がBF団に命令され世界征服の為に作ったのだがそれに気づいた博士はBF団を倒すために息子大作にGRを託す。 草間大作
不死身の村雨(パリ支部)・・・何しても死なない。 不死身の村雨
知多星・呉学人・・・扇子使い。昔フォーグラー博士の助手を勤めていた。すぐ泣く(笑) 知多星呉学人
一清道人(北京支部)・・・変身能力?仙道? 公孫勝一清道人
黒旋風の鉄牛・・・斧使い 黒旋風鉄牛
銀鈴・・・拳銃の名手、テレポート能力有り(ただし使いすぎると死んじゃう?
青面獣の楊志・・・三節昆の使い手。戴宗とは夫婦。元ネタでは男性! 青面獣の楊志
元三兄弟・・・太鼓叩いて衝撃破を発生? 石ヶ村の阮三兄弟
小李広・花栄 小李公の花栄
鎮三山・黄信 鎮三山の黄信
双尾蠍・解宝
双頭蛇・解珍
解珍・解宝
小覇王・周通 周通
打虎将・李忠 李忠

シズマシステム開発者 フォーグラー博士・・・10年間未完成のシズマドライブを強引に作動させ暴走させてしまう。俗に「バシュタールの惨劇」と呼ばれる大惨事である。その時に死んだはずなのだが・・・ フォーグラー博士
シズマ博士・・・バシュタールの惨劇後改良したシズマドライブを完成させ世界のエネルギー問題を解決した。しかし・・・ シズマ博士
Dr,ダンカン
ドクトル・トランボ
シムレ教授
シムレ・ダンカン・トランボ